地域の話題

お城薪能へ愛好者が稽古

 松本市の能楽愛好者が、夏恒例の「国宝松本城薪能」(松本市・市教育委員会主催)の舞台に初めて立つ。8月8日に行われる第37回の本公演の「前座」として発表会を開き、プロの鑑賞だけでなく、伝統の古典芸能をより身近に感じられるよう愛好者拡大を狙って、薪能にも出演する宝生流シテ方能楽師・澤田宏司さん(49)=東京都=に指導を受ける松本澤風会が魅力発信に努める。

 松本澤風会は平成22年に発足した。小学校1年生~70代の親子を含む十数人が月2回、大手公民館で稽古している。8月の公演に向けて準備中で、3日にも稽古が行われた。「竹生島」の仕舞を披露する予定の丸ノ内中学校2年生・今井美和さん(13)は「間違えないで堂々とやりたい」と意気込む。
 澤田さんは、京都大学農学部在学中に能楽サークルに所属したのが縁で同大大学院から東京芸術大学音楽学部に進学し、宝生流宗家の内弟子として修行して39歳で独立、稽古場の一つに松本を選んだ。今回の薪能で初めてシテ方(主役)を担う澤田さんが門下生の発表を市側に提案し、プログラムに組み込まれた。
 本公演前の午後3時半から約1時間、会員が松本城本丸庭園の特設舞台で仕舞や太鼓を披露する。愛好者の発表会の解説もする澤田さんは「松本を能楽の拠点の一つに」と願い、発足当初からの会員の今枝早苗さん(70)=中央3=も「地元に能楽堂を作る気運を高めたい」と語っている。
 昭和57年に始まった薪能は東京に拠点を置く宝生流と観世流の2派が隔年出演しており、市は地元の謡曲連合会と協力して市民が伝統文化に触れる機会を無料提供している。例年約2000人の来場があり、松本城管理事務所の手島学所長は「発表会は愛好者の励みにもなると思う。裾野も広がるのでは」と話している。

連載・特集

もっと見る