連載・特集

2018.6.23みすず野

 若い頃に就いた職場で、苦情対応の肝要を「お客と一緒に悩め」と教わった。困惑や怒りで責め立てる人に、こちらの都合ばかりを言い募れば敵対してしまう。まずは相手の立場になり、懐に飛び込んで「困りましたね」と腕を組めと◆人口減少の局面を迎えて自治体の財政が厳しくなるなか、全ての社会資本や公共施設を現状のまま更新し続けるのは難しい。その一例が生活道路の傷みだと、塩尻面の連載が市政課題を指摘していた。毎年7000万円をかける補修計画も、国の交付金次第で先が見通せない◆安曇野市では合併前の町村ごとにある公共施設の再配置計画案を作った。効率化には総論賛成だが、なじみの施設が廃止となると不満が出る。老朽化した入浴施設とプールが俎上に載せられている◆「お金が無いから無理」「仕方ない」と木で鼻をくくった説明一辺倒では住民が納得しない。住民の側も行政の悪口を言うだけだと話が前へ進まない。互いに「困った」と懐に飛び込み、行政には住民の知恵と成熟を引き出す姿勢が求められよう。まちづくりと住民参加が一体で語られて久しいのだが、この溝はなかなか埋まらない。