連載・特集

2018.6.16 みすず野

 燕岳の登山道で中学生の列に出くわすと、あいさつを返し続けなければならない。登りだと余計に疲れる。山仲間は「こんにちは攻撃」と呼び、やれやれと笑い合った◆岳都・松本で登山行事を実施する市立中学校が10年前の18校中17校から減少し、登りやすい山を選ぶ傾向がみられると記事にあった。19校中15校の行き先は▽乗鞍9▽燕3▽奥穂2▽常念1―。安曇野市では全7校に登山の計画があり▽燕3▽常念2▽乗鞍2―だ。小紙の記者も同行取材へ体力づくりに余念がない◆かつて学校登山に同行して中央アルプスの木曽駒ケ岳へ登った。2合目半から9合目の山小屋まで長丁場の行程で、標高を稼ぐにつれて生徒たちの結束が強まり、山頂で「皆と登れて良かった」と笑みがこぼれる。先生方の緊張感にも触れた◆成長の場と評価される一方で、かえって信州人を山嫌いにしているとの声も。「ケンミンショー」で取り上げられる伝統行事だが、学校登山を巡る風景は時代とともに移り変わるかもしれない。山に登らなくても子供たちが郷土の自然に触れる機会は残したい。愛する山で彼らの「こんにちは」が聞けないのは寂しい。