連載・特集

2018.6.1 みすず野

ウルシの思い出は、子どものころ里山を遊び歩いていて、首筋などがひどくかぶれたことである。最初は何だかわからず、かいているうちにぶつぶつ腫れ上がり、医者に行ってやっと、「ああ、あの時、ウルシにやられたんだ」と気づかされたもの◆漆器は、このウルシの樹液を木などの食器等に塗った工芸品。漆職人は免疫ができてかぶれない、と聞いたことがあるが本当か。漆は乾いてしまえば、絶対にかぶれない。漆器にかぶれることはない。漆器は、英語で「ジャパン」と表記されることがある(ちなみに磁器は「チャイナ」)◆日本人が、世界で最も漆を身近に用いる民族だったから、日本をジャパンと呼ぶようになったらしい。いまはどうか。お椀のない家はないだろうから、漆器には触れているものの、高価なイメージもあって、それほど親しまれていないのでは。お茶やコーヒーを漆器で飲んでいる人は、まず見かけない◆きょうから日曜まで、「木曽漆器祭・奈良井宿場祭」(実行委員会主催)が、塩尻市の楢川地区で開かれる。51回を数え、さながら初夏の風物詩だ。伝統漆器を知り、見直すとてもいい機会となろう。

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