2026.3.19 みすず野
2026/03/19
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友人や職場の同僚と話していて自分が知っていることが話題になったとき、何も知らない顔をして黙っているのは難しい。仕入れたばかりのニュースをちょっぴり得意げに話そうとしたら、相手はもっと詳しく知っていたという場合もある◆話に花を咲かせるためには、その場にいる人が聞き上手にならないといけない。言い方を変えるとそれは思いやりで「道徳の観念の範疇に入る徳目ではなく、わたしは想像力の問題だと思っています」と詩人の川崎洋さんは『心に届く話し方』(ちくま文庫)でいう◆自分が知っている話題にいつも口を出すなというわけではないが、雑談に花が咲いているときくらい、相手に花を持たせ、時には自分も持たせてもらう。「それでこそ、お互いのことばは、お互いの心に届く」のだと◆その話はもう何十回も耳にしたなあと思いながら聞いたことがあった。また始まったと思いつつ、初めて聞くような顔で笑ったり相づちを打ったりしていた。話し手はその度に生き生きと言葉を繰り出した。会う機会が減ってしまい聞かれなくなって随分時間がたつ。あの話をまた聞いてもいいなと思い始めている。



