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2025年

2026.3.11 みすず野

2026/03/11
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 松本深志高出身の俳人・小澤實さんは、俳句界で最も権威があるとされる蛇笏賞を受賞した『句集澤』(角川書店)に「翁に問ふプルトニウムは花なるやと」の句を収めた。プルトニウムは原子力発電所の運転中にウランの一部が変化してできる放射性物質◆俳人・小川軽舟さんは、「翁」は芭蕉であり四季を友とすることが風雅の道なのだと説いたと解説。「そう思い定めれば、この世に見えるものはすべて美しい花」なのだという。その上でこの句は「原発事故で放出されたプルトニウムも花だと言えるのかと芭蕉に問う」◆続けて「作品の意図はプルトニウムは花ではあり得ないという芭蕉に対する訴えにあるようだが、それは花ならざるものをこの世に生み出してしまった人類の一員としての悔悟の表れでもあろう」と(『名句水先案内』角川書店)◆小澤さんは句集の後書きで、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故を振り返り「芭蕉の旅で訪ねた際、あたたかく迎えて下さった、みちのくのひと、そして、風土が深く傷つけられたことは、忘れてはならないと思っている」と記している。きょうであの日から15年になる。

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