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2025年

2026.3.10 みすず野

2026/03/10
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 「朝食バイキングが好きだ。昼食バイキングでもケーキバイキングでもなく、朝食のバイキングが好きなのだ。ホテルに泊まった翌朝のバイキングのことを思うと、いつだってしあわせな気分になる」と作家の角田光代さんはいう(『ぱっちり、朝ごはん』河出文庫)◆和食ならサケやのりや納豆、温泉卵、お新香。御飯かおかゆを選べることもある。洋食ならハムやチーズやオムレツ、パンも豊富。スープやみそ汁、ジュースに牛乳。フルーツにヨーグルト。「しかも和洋折衷で選んでもだれも叱られない」◆「好きなものだけで構成された朝ご飯ほど、人をしあわせにするものはない」。本当に。でも盛って食べきれないという食後の皿は恥ずかしいので、食べたいものを厳選する。何度追加してもいいのだから◆15年前のこと。宿泊したホテルの朝食バイキングの階に入ったが話し声が何も聞こえない。ほとんどが男性で同じような作業着を着て、無表情でただ黙々と食事をしていた。ホテルは福島県いわき市にあった。50日ほど前に発生した、東京電力福島第一原子力発電所事故の作業対応をする人たちが宿泊していたのだと後で知った。

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