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2025年

みすず野2026.3.2

2026/03/02
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 「この世には、というか、このニッポンには、本屋がくれるカバーをつけて読むひとと、つけないで読むひとと、二種類いる」と、翻訳家の青山南さんはいう(『本は眺めたり触ったりが楽しい』ちくま文庫)。続けて「ぼくは、学生だった昔は前者だったが、いまは後者だ」と◆そういえば、学生の頃は文庫1冊でもカバーをかけてもらった。社会に出てからも、毎年ある文庫フェアのカバーは、そのデザインが面白くて何冊か取ってある。中学、高校生のころに買った本は、書店名が入ったものをかけたままのが数冊残っている◆上京してからは老夫婦が営む小さな古本屋に何度も足を運んだ。店のカバーはなかった。当時、安い文庫本は30円、50円という値段。傷みがあるものが多く、別の本から掛け替えるなどした。そのうちの1冊は別の古本屋のカバーをかけたまま今も手元にある◆最近は書店のレジでカバーが必要か聞かれる。書名を隠す狙いもあるのだろうが、年のせいか読んでいる書名を知られても全く気にしないようになったのでその度に断る。卒業から入学へ向かうこの季節。今年も本をめぐる遠い昔のあれこれがよみがえる。

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