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2025年

2026.2.11 みすず野

2026/02/11
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 作家の小山清は「私は戦時中、下谷の竜泉寺町で新聞配達をしていた。数え年で二十七歳から三十二歳の間のことである。私はまる五年というものを一つの土地で新聞配達をしていたわけである」と小説「小さな町」を書き出す(『小さな町・日日の麺麭』ちくま文庫)◆雪が積もった朝、雪かきをするために身支度を整えて外に出る。家の前の道には、1台分の車輪の跡と、新聞受けまで歩いてきた配達の方の足跡が残る。この程度の雪ならまだいいが大雪の日の配達を思う。豪雪地帯ではどう新聞を届けているのだろう◆新聞の見出しをざっと見て雪かきを始める。雪道を歩く音は「さくさく」かなと、後で『擬音語・擬態語辞典』(講談社学術文庫)を引いてみた。「霜柱や雪、かき氷など、水分を含む固体が、踏まれたり混ぜられたりして崩れてゆく小気味よい音。また、その様子」とあった◆足跡に沿うように猫の足跡も続いていた。辞典には類義語として「さくっ」もある。「一回だけ軽快に切ったり混ぜたりする時に使う」と。猫の歩き方は軽快ではあるが音は立てない。小山がいた台東区では当時、どれほど雪が降ったのだろう。

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