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2025年

2026.1.21 みすず野

2026/01/21
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 移動はほとんど車だが、少し遠方へ出かけるには電車を使う。駅の構内を歩き、ホームに立つだけでも新鮮な気分になる。年に何回もないが、その遠足のような1日は、家を出てから帰るまでの細かなことが記憶に残る◆横浜市から山梨県の小淵沢に移住したエッセイストでイラストレーターの平野恵理子さんは、電車で松本への遠足を計画した。「松本は城下町だからか、街全体がどこかおっとりとした雰囲気がある」と思いながら歩く(『五十八歳、山の家で猫と暮らす』文春文庫)◆「懐の深さ、余裕が街の様子に感じられて心地よい」ともいう。川沿いの店でそばを食べ、家具を見たり花瓶を買ったり。菓子も買い、午後1時半の特急で帰途に就く。「小さい遠足。でも満足した。久しぶりにゆっくりお店を回って買い物をできたことが何よりもうれしかった」◆街を訪れる人の感想は貴重だ。ひと言も聞き漏らさないよう耳をそばだてたい。平野さんは「もうこれからは気負わず気楽に行けるようになるだろう」とつぶやく。紙袋を手に、正面入り口にある木彫りの松本駅の看板に「また来るぜ」と声をかけ駅へ入って行った。

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