2026.1.20 みすず野
2026/01/20
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大勢を前に、一段高いところから何かを話すのは、そうした機会と経験が少ない身には難しい。地区の催しや会議などで、役員としてやむを得ず壇上に立つことが増えたが、慣れるというところには到底たどりつかない◆松本広域消防局職員の意見発表会を聞く機会があった。若い男女職員12人が、日頃の職務で感じていることや仕事への提言などを一人5分以内で発表した。名前を呼ばれて登壇し、ほとんどが原稿を見ないで、時に身ぶり手ぶりを交えて思いを語った◆取り上げたテーマは、外国人や高齢者、子どもたちへの火災予防の呼びかけの提案などが大半を占めた。いまの世の中が抱える問題点がそのまま反映されているようだ。それぞれの主張は具体的で、聴く人を引きつける内容に満ちていた◆「話術の神様」といわれた徳川夢声は人前で話す心得として「言わんとすることを心の中に順序よく積み重ねておく」「聴衆の状態により言語態度など変通自在に加減する」など6カ条を挙げている(『話術』新潮文庫)。それができれば苦労はない。発表会の講評で壇上に立ったが、口から出た言葉は四方八方へ飛び散ってしまった。



