2026.1.1 みすず野
2026/01/01
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年賀状は元日の午前中、かなり早い時間に届く。郵便局で出発式をしてから、アルバイトの学生たちが配達してくれたのだろうかとかつての取材を思い出してみる。年々取り扱いが減っているようだが、新年のあいさつはうれしいものだ◆松本市出身の歌人・窪田空穂は「時局柄、年賀状の交換は取りやめるということにきまってからも、もう何回かになる」と「年賀状」と題した随筆を書き出す(『窪田空穂随筆集』岩波文庫)。昭和12(1937)年に日中戦争が起きて差し出しが制限されてからのことだ◆「新しい年賀状はなくなったが、古い年賀状はよみがえっている形だともいえる。狭い範囲の年賀状ではなく、広い範囲で、異なる言葉で祝い祝われていると思いつつ、年賀状のない新年を迎えよう」と結ぶ◆年賀状じまいをして1通も届かなくても、従来どおりに新年の便りが届いても、どちらでもいい。それはどこかから、誰かから指図されて決めることではない。そういう世の中は真っ平御免である。今年は昭和101年になる。戦後が変わらず続くよう時々足元を見つめたい。大きな声でなくていい。今年は戦後81年だよと。



