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2025年

2025.12.31 みすず野

2025/12/31
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 「日頃テレビを見る機会があまりないので、いろいろなことに疎くなりがち」で、その「疎さ」を埋めるようなつもりで見ることにしているというテレビ番組は「紅白歌合戦」。日本語学者の今野真二さんはこんな理由で大みそか恒例の番組を見る(『日日是日本語』岩波書店)◆新聞に入っていた出演者が歌う対戦表の曲目に注目。「『打上花火』のような漢字列のみのもの、『天城越え』のような『漢字+平仮名』のもの、『カブトムシ』のような和語をすべて片仮名で書いたもの、『アイデア』のように外来語を片仮名で書いたもの」などと列記◆さらに外国語をラテン文字で書いたもの、外国語を省略表記したものなどさまざまな書き方がみられると指摘。「現在の日本語の語彙的なありかた、表記的なありかたを反映したものになっているようにみえる」という◆日本語について考えすぎるほど考えている著者の真剣な日常を教えられる。それでいてどこか楽しい。大みそかの歌番組を見るにしてもこうなのだ。そんなことを考えながら見てみよう。つい眠ってしまい「ゆく年くる年」が始まっていたなどということがないようにして。

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