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2025年

2025.12.29 みすず野

2025/12/29
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 駆け出しの頃取材には、先輩たちと同じように大学ノートを使った。その後、ポケットに入るような小さなメモ帳を手にしたこともあったが、使いにくくてまた大学ノートに戻った。1ページのスペースが広いことがその理由だった◆年々物忘れをするようになる。それは仕方ない。でも忘れてはいけないことを忘れないための努力は必要。メモに残すのはその方法の一つだ。取材ではないから小型のノートでもいいのだが、持ち歩くのがうっとおしい◆童話作家の坪田譲治は都心に出るために「出京覚書」を作った。デパートで昼にウナギを食べる計画。覚書も持った。ところが駅に来て入れ歯を忘れたことに気づく。入れ歯がなくては何一つ食べられない。「これでは、出京は全然無意味です。私はとって返しました」(『日本の名随筆・老』作品社)◆仕事に必要なこともメモを取らなかったが、今は書き付けないと忘れる。メモ帳を持ち歩くのは嫌だが、作家の林望さんのメモ用紙を知って試している。A4の紙を四つ折りにして、さらに二つ折りにすると名刺ほどの大きさになる。これだとかさばらないが用紙を置き忘れてはいけない。

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