2025.12.28 みすず野
2025/12/28
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初夢を『広辞苑』で引く。―元日の夜に見る夢。また、正月2日の夜に見る夢―。2日間あることを知る。他に「古くは、節分の夜から立春の明け方に見る夢」も指したそうだ◆明治中期生まれの小説家・豊島与志雄に「夢」と題した随筆がある。同作の中で初夢を「何かしら、未知の世界、神秘の世界、広く深い運命の世界を、ちらと覗きこめる隙間のようなものだった」としている。俗っぽい自身の体験を振り返って小説家とのあまりの違いに苦笑する。凡人であっても初夢くらいは、かくありたいと思った。ちなみに豊島は「レ・ミゼラブル」の翻訳でも知られる◆良い初夢を見てもらえるように│。松本市立博物館が10年ほど前、枕の下に敷く用に宝船の絵を配ったことがあった。当時の館長・窪田雅之さんは「来場者の幸せを願っての職員の発案」と思い出を語る。「寶」の文字が帆に大きく書かれた絵だった◆夢は見るものか、かなえるものか。眠っている間に見るのは別にして年齢を重ねると、見るとも、かなえるとも言うのが気恥ずかしくなる。だが、いつまでも見続けたいのが夢でもある。寝ても覚めても良い夢を見たい。



