2025.12.25 みすず野
2025/12/25
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年末には各紙誌がさまざまなジャンルの「ベスト10」のような企画を組む。選者がCD、映画、演劇などのこの1年を振り返り、優れたものを挙げる。選んだ作品をどう評価しているかが興味深い◆本では『本の雑誌』1月号が、年間ベスト10とSF、ミステリー、時代小説、現代文学、ノンフィクションなどジャンル別のベスト10を発表している。それとは別に、作家、評論家、翻訳家、ライターに今年の新刊から3冊を選んでもらう「私のベスト3」があり、これも読み応えがある◆その中には各出版社だけでなく、地方都市の教育委員会が発刊した作家の戦前の日記も挙げられている。入手方法も丁寧に記されていてこうした情報が、その本を求める読者の役に立つ◆全体を見て、読んだ本は1冊しかなかった。新刊情報はできるだけまめに目を通すようにしているが、これまでなかったことなので驚いた。新刊より、必要に迫られて昨年以前に発刊された本を読んだということだろうか。書店の書棚の前に立つ時間は減っていない。その1冊『爆弾犯の娘』(梶原阿貴著、ブックマン社)は300ページに満たないが、圧倒的な重みを感じた。



