2025.12.13 みすず野
2025/12/13
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師走になり夕日を見られ始める時間が早い。だいだい色に染まった夕焼け空を眺めていると、もの寂しくなる。夕暮れとともに冷え込みが増すようになってなおさらだ◆高校時代の現国の時間。授業の本筋から脱線し、教諭が「夕日を見ると帰巣本能が働き、家に帰りたくなる」と話し始めた。感動的な話だったような気もするが、詳しく覚えていない。ならば、どうして話し始めたのを覚えているかというと「日が落ちて暗くなり、街のネオンが光りだすと、その気持ちはどこかに飛んでしまう」とオチがついたからだ◆夕日が沈みそうになる時、太陽の光が雲間から筋になって上方に伸びる光景と出合うことがある。幻想的で美しい。太陽が高い位置にあれば光は地上に向かって伸びる。共に「光芒」と呼ばれる現象という(『空の図鑑』武田康男監修、KADOKAWA)。古くから世界中で愛される光景で、欧州では「天使の梯子」「ヤコブの梯子」と呼ばれるそうだ◆夕焼けを眺めていると、あっという間に時間が過ぎる。稜線の向こうに日が沈んで、しばし余韻に浸る。はかないものに心をひかれる人間のさがを夕焼け空に思う。



