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2025年

2025.12.11 みすず野

2025/12/11
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 年賀はがきの受付は15日から始まる。今年の発行枚数は約7億5000万枚で、前年比3割減だそうだ。年賀状は明治39(1906)年、年賀特別郵便規則が制定されてから生まれたと『民俗学がわかる事典』(角川ソフィア文庫)にある◆年賀状の項目を執筆している元跡見学園女子大学教授の倉石あつ子さんは「私は信州の松本市に生まれ育ったが、一九五〇年ごろ一般の家庭に配達される年賀郵便はがきは一〇枚から二〇枚くらいのものであったと記憶している」という◆それは「縁の遠くなった親戚や、年始回りに行くことのできない遠隔地の親戚などに出すだけのものであったから、相手からくるものもそのくらいの数ですんでいたのである」と説明。やがて高度経済成長期を迎え、年始のあいさつを年賀状で代えるようになり枚数が増えたが、SNSの普及などで減少していると◆今年も「年賀状じまい」のはがきが届いた。受け取る枚数は年々減っている。以前は手作りの木版画で彩ったものも何通かあったが、もうほとんど見られなくなった。当たり前のように続けてきた慣習が少しずつ変わってゆく。ちょっぴり寂しくもある。

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