2025.12.7 みすず野
2025/12/07
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渡した恋文をつなぎ合わせたら長さが180メートルになるという。熱烈な手紙の差し出し主は塩尻の近代歌人・太田水穂。婚約時、のちに妻となる同じく近代歌人の四賀光子に宛てた。塩尻短歌館で展示ケースから出して披露された様子が過日、弊紙の記事になっていた◆鑑賞者が「これだけの文字を書く熱量や思いの深さに心打たれた」と語っていた。深く共感した。きっと、好きな女性に熱い思いを伝える力があったからこそ多くの素晴らしい短歌も残せたのだろう◆恋文という古風な言い方がまたいい。ラブレターよりしっとりとした雰囲気があるように感じるのは筆者だけだろうか。「初恋」と「ファーストラブ」もしかり。シンガー・ソングライターの宇多田ヒカルさんに双方の題名の名曲がある。初恋を作ったのが35歳、もう一方が15歳という違いのせいもあるだろうが、やはり日本語の初恋のほうが切なくしっとりした趣ある曲に個人的には感じる◆今時の人の恋文はどんなものだろう。ラブレターという言い方も一昔前と笑われるのだろうか。ネットの活用もいいかもしれないが心を込めた手書きが効果的かも。余計なお世話か。



