2025.12.5 みすず野
2025/12/05
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西側の山が真っ白になった。朝日を浴びて輝く。やがて北アルプスの峰々も顔を出した。昨日のことだ。小社の窓は、少しずつ変化する青空と雪山のコントラストを映し出すスクリーンのようになった◆「お酒呑みってタチが悪い。なんでって、一日中今夜何を呑もうかと考えている」と、料理研究家の大原千鶴さんは『日々つまみ』(プレジデント社)で自らのことをいう。いや、本当にと、目の前の雄大な雪景色を見ながらうなずいた◆「雪見酒」は冬の季語で「花見・月見と並ぶ風流な遊びである」(『俳句歳時記』角川書店)そうで江戸時代には庶民にも広がり、上野や隅田川などは雪見の名所だった。豪雪地帯の雪を見に行くことではなく、普段はそれほど降らない地域での楽しみだとの解説がある。降る雪を眺めながら飲む酒をいうのかと思い込んでいたが、そういうわけではないようだ◆「お酒は人生の愉しみ」という大原さんは、つまみの量は少しずつ、薬味はたっぷりがお約束だと。「残った薬味でまた呑む。そして、夜が更けていく。やっぱりお酒呑みはタチが悪い」。さて、今夜のつまみは何にして、どの酒を飲もうか。



