2025.11.30 みすず野

　相撲にたとえるならいったん外に出たと見られた足が徳俵にかかっていて、うっちゃりが決まった感じだろうか。ＪＲ松本駅の「まつもと～、まつもと～」の話。先頃終了した列車到着時の名物の自動アナウンスが再び聞けるという。率直にうれしい◆権利を持つ東京の組合から、松本市が音声データを取得できることになった。市は松本駅東西自由通路での放送を検討しているという。臥雲義尚市長は、特急あずさの到着時に音声を流すことを考えているようだ。聞き納めになるはずだった日の駅の様子に、ファンの多さや各自の思い入れの強さが表れた。大勢が満足する使い方を考えてもらえれば◆音声データの引き継ぎは市職員の尽力があった、と先日の弊紙「月見やぐら」欄にあった。無くしていいものか否かの判断力、時勢を食い止めた行動力に敬意を表したい。粘り腰のファインプレーだろう◆大事なものを守るのに場合によっては泥臭く時流にあらがうのも必要だと痛感した。社会の荒波にもまれ、変に物分かりが良くなり過ぎていないか自省する。熱いファンの多い宝を残しただけではない。あきらめない大切さも教わった。