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2025年

2025.11.25 みすず野

2025/11/25
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 郷土料理で知りたいことがあり『日本の食生活全集 聞き書長野の食事』(農山漁村文化協会)を開いた。冒頭は料理などの写真を載せたカラーページが続く。そこに写っている県内の中高年の女性は、ほぼ全員が手拭いで頭を覆っている。この姿が見られなくなったと気づいた◆発行は昭和61(1986)年。40年近くたっている。野沢菜を漬け、お焼きを作り、ソバを脱穀。五平餅を手がけ、大きなかごを背負い野良仕事へ。凍り餅、やしょうま、寒ざらし粉も作る。全員の頭に手拭いがある◆その表情もどこがどうとうまく説明できないが、昔のお年寄りの顔をしている。顔のしわの刻まれ方といえばいいのだろうか。床に座り作業をする背中の丸め方といえばいいだろうか。すぐ気づいたのは、母もこうだったということだ◆地元の社会福祉協議会で、一人暮らしのお年寄りなどを対象に配食サービスをしている。年4回のうち1回はボランティアグループの女性たちが手作りする。先日その作業をした。女性たちは配食を受け取る人とあまり年齢が離れていない。頭を覆ったのはカラフルなバンダナなどだった。もうあの姿はない。

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