新村バイパスで渋滞緩和 まつもと道路交通考・第6部⑤ 「混雑交差点」の迂回路整備へ
松本市の東西を結ぶ幹線の国道158号と市南部から安曇野市までを抜ける県道松本環状高家線が交わるのが新村交差点だ。交通量が多い上、すぐ近くにアルピコ交通上高地線の踏切があり交通渋滞は慢性的となっている。県は迂回路として「新村バイパス」の整備を本格化させている。
県道の蘇我交差点から北へ4車線道路を新設して上高地線を立体交差でくぐり、国道と平面交差させる。その先は、県道梓橋南交差点まで2車線道路を設ける。全長は約1.9キロで設計速度は60キロとなる。総事業費は約52億円を見込んでいる。
新村交差点近くには松本市と福井市を結ぶ中部縦貫自動車道(約160キロ)の一部となる松本波田道路新村インター(仮称)も設けられる予定で、バイパスやインターが完成すると周辺の道路環境は一変する。バイパスの完成は令和16(2034)年度の予定だ。
県道松本環状高家線は、交通量の多い国道19号の村井下町交差点を起点に西へ向かい、県営松本空港、松本臨空工業団地周辺を経て新村交差点に至る。市郊外の農村部を抜ける幹線道路で、同交差点以北は安曇野、大北地域に向かう大型広域農道とも一本につながる。
県松本建設事務所は昨年3月、新村バイパスに関係する地元6町会の住民向けに説明会を行った。一部の町会から「新たな道路によって町会活動が分断されないか」と懸念する声も上がったが、目立った反対はなく事業化が了承された。
住民の受け止めはさまざまだ。新村交差点近くの女性は「今は渋滞を避けようとする車が県道と平行する抜け道に入ってくる。生活道路であり、子供が事故に遭わないか」と心配が尽きない。同交差点西側の国道沿いでバス会社を営む川手学さん(41)は「バスが国道に出て松本駅や上高地に向かってもいつも渋滞に巻き込まれる」といい「もっと早く工事を進めてもらいたい」と要望する。地元町会の役員を務める男性(71)からは「道路環境が激変して景観が大きく変わらないか心配」との声もあった。
県松本建設事務所は本年度から2カ年で設計を行い、9年度以降に用地測量と用地取得に伴う交渉に入る。同事務所は「渋滞解消につながる大切な工事。地元の協力をお願いしたい」としている。
(第6部終わり)




