0000日(木)
2025年

2025.11.16 みすず野

2025/11/16
後で読む

 厳しい食糧事情のためやせ衰えた力士や、復員してきたばかりで丸刈りの力士が多かったという。80年前の話。昭和20(1945)年11月16日、戦後最初の大相撲本場所が東京・両国国技館で開幕した。『昭和100年今日は何の日』(河出書房新社)による◆戦争の影響で国技館の屋根に穴が空いていて雨漏りするため、晴天10日間の興行だった。悪条件が重なる状況にもかかわらず観客は連日満員の大盛況だったそうだ。戦争に敗れて打ちひしがれた人々に興業が、どれだけ活力を与えたかをうかがい知る。優勝は10戦全勝で羽黒山。強い横綱の活躍は多くの人を奮い立たせただろう◆日本相撲協会の公式サイトをのぞくと、今の大相撲の基礎が確立されたのは江戸時代と載る。浪人や力自慢に相撲を職業とする人たちが現れ、江戸中期には定期的に興業がされるようになった。やがて谷風、小野川、雷電の三大強豪力士が出現、将軍上覧相撲も行われて人気は急速に高まった◆現代に目を移せば、今日11月場所の中日。当たり前に興業が行えているのは平和だからこそ。テレビ桟敷で取組を楽しみつつ、少し80年前にも思いをはせたい。

関連記事