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2025年

2025.11.14 みすず野

2025/11/14
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 ものの数え方は極めてやっかいで、知れば知るほど不安になる。毎日何度もページを繰り、小口が汚れた新聞の用字用語集には助数詞の書き方が載る。たんすは「さお・本」。このあたりはわかる。でも琵琶を「面」、そろばん「面・丁」、数珠「連」となるとお手上げだ◆落語のまくらでよく使われるのが動物の数え方。一つだと「いっぴき」、二つだと「にひき」、三つだと「さんびき」という変化。数えるものにより言い分ける助数詞もある。同じ乗り物でも自動車「台」、船「隻・艘」、飛行機「機」、電車「両」で全て異なる◆『日本語をみがく小辞典』(森田良行著、角川ソフィア文庫)は数え方の特例をいくつか挙げているが、驚いたのは反物の数え方。「高価だが思い切って一匹買約した」(『私の見た人』吉屋信子)を引き「匹」と数えるという◆森田さんは日本語は助数詞が極端に発達していて「日本人は物を数えるとき、それが何であるかを潔癖なほど区別する性質があるらしい」と語る。日常使う数え方の多くは、幼い頃から言葉を覚えるなかで身に付いたのだろうが、これから日本語を学ぶ外国人には深く同情する。

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