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2025年

2025.11.12 みすず野

2025/11/12
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 「礼服には洋服を採用」という太政官布告令が出されたのは明治4(1871)年11月12日。それにちなみきょうは洋服記念日だそうだ。東京都洋服商工協同組合では、毎年この日に明治神宮で記念式典をしているとホームページにある◆俳優で随筆家だった三國一朗さんには、着用して外出すると必ず雨が降る背広があった。映画の撮影でたまたまこの背広がいいと採用され、半月間撮影所で着ていた。その結果「これでもかこれでもか」というほど降り大水害になった◆背広と雨の関係が恐ろしく、そのことは公表しなかったというが「そのセビロを着て出歩くと雨が降る、のではなく、雨が降るような気象条件になってくると、なんとなくその『セビロ』が着たくなってくるのではないか?」(『日本の名随筆・装』作品社)と解釈する◆背広という言葉は日常会話にほとんど登場しなくなった。もしやと思い、手元の『三省堂国語辞典7版』を開いたら「男性が普通に着る洋服」と載っていた。代わる言葉として使われるのは「ジャケット」か。この辞書には「たけが短い、洋服の上着」とある。「背広」の復権は難しいのかもしれない。

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