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2025年

2025.11.9 みすず野

2025/11/09
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 柔らかな日差しを浴びて、鮮やかな黄色の葉が目に映えるイチョウ。過日の弊紙の紙面にキッセイ文化ホール周辺の木が載った。晩秋から初冬にかけて葉の色を黄緑から変え、あらためて存在感を示す。とりわけ並木や大木は目立つ。街路やひなびた景観に文字通り彩りを添えてくれる◆中生代ジュラ紀(約2億年~1億4000年前)に栄えた仲間の唯一の生き残りという。『ひと目で見分ける340種 日本の樹木ポケット図鑑』増村征夫著(新潮文庫)から学ぶ。東京、大阪、神奈川の各都府県木になっているそうだ◆松本平では生坂村小立野の県天然記念物「乳房イチョウ」がよく知られる。推定樹齢800年以上、高さ約35メートルで、幹や枝からこぶが垂れている。そばにある乳房堂の観音様に祈願し、枝を煎じて飲んだら母乳の出が良くなったという伝説がある。落葉した葉で遊ぶ地元の幼児たちの姿は風物詩で、弊紙にもしばしば取り上げられる◆葉と共に落ちてくるのが実。悪臭を漂わせるが、中にはギンナンがある。殻を割って塩でいためたり加熱した物に塩をつけたりすれば、お酒のいいつまみに。こちらは大人が楽しめる。

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