2025.10.18 みすず野
2025/10/18
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自分の顕彰碑を建立してもらうのは、どんな気持ちなのだろう。四賀村(現松本市)の村長を4期務めた中島学さん(95)=松本市会田=は「日本一、幸せな男がここにいる」と表現した。最大の感謝を示した言葉に感じた◆建立実行委員会の丸山則行委員長は碑の除幕式のあいさつをしている最中、涙ぐんで何度か言葉を詰まらせた。話していてさまざまな思い出がよみがえってきたようだった。「小さな村では不可能と思われたことを幾つも成し遂げた」。言葉の端々に尊敬の念が伝わってきた。顕彰碑を建立するのはそれくらい深い思いがないと、実現できないのだと思い知らされた◆建立の話が持ち上がった際、実は中島さんに打診したという。実行委の一人がこっそり教えてくれた。中島さんは「さすがにそれは良いとも悪いとも何とも私から言えない」と苦笑されたそうだ。手探りだった建立の舞台裏を垣間見る◆気に留めないと目に入らないが、松本や木曽地方に顕彰碑が幾つも立つ。多大な功績を残し、大勢に慕われた人物でないと碑は立たないことが今回の除幕式でよく分かった。時に碑の前で足を止めて偉業を学びたい。