2025.10.16 みすず野
2025/10/16
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200冊を超える自著があり菊池寛賞などを受賞したグラフィックデザイナー、イラストレーターの和田誠さんは、子どもの名前を自分でつけた。「名前をつけるのは子どもに対する愛情や責任の表れの一つだと思ったからだ」とその理由を語る(『青豆とうふ』安西水丸さんとの共著、中公文庫)◆それがなかなか難しかったと振り返る。「まず個性的でありたいと思ったが、奇抜すぎても困る。鈍吉というわけにはいかない。学校でからかわれたらかわいそうである」と。子どもの名前を考える親は誰でも同じことを考える◆いくつかの候補から一つに絞る。ところが友人が貸してくれた名前の本に、その名前は姓とともに数える字画が「ひどく不幸を呼ぶ数だと記されていた」。そうある以上、強引に押し切る度胸はなく別の名前を考えた。前よりはいい名前になったと思い「姓名判断そのものを信じたわけではないが、物事慎重に、ということは教えられたのだった」◆個性的であることは尊重されていいが、それが奇をてらったものだと、なかなか理解を得られない。多くの人の共感を得るために、バランス感覚はやはり大切なのだ。