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2025年

2025.10.10 みすず野

2025/10/10
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 小中学生と高校生を対象に、箸の持ち方教室が今月開かれるという記事が、昨日付の塩尻面に載っていた。箸の持ち方がおかしいと不思議と気になる。できれば子どものうちに、きちんとした持ち方を身に付けられればそれに越したことはない◆「日本人が一番うまい筈の、箸の扱いでも、見せるなあ、と思うほどの人は、この頃少いんじゃないでしょうか。もっとも、見せて金をとるようなものじゃないから、下手でもどうってことはないけれど、はらはらさせられるような程度ではちょっと困る」と姿、形、しぐさに注目した作家の神吉拓郎はいう(『たたずまいの研究』中公文庫)◆箸だけでなく、扱いが堂に入っていて、しかもこれ見よがしでないというのは、一人前の男の基本的なトレーニングに属すると厳しい。たたずまいというには熟成に時間がかかるわけだ◆箸のしぐさでは落語家が扇子を箸に見立てて使う動きが楽しい。そばなどを食べようと口にくわえて割り箸を割る様子を見せる。箸の持ち方は正しい方がいいが、そうではない人も。国文学者の折口信夫は、一生、変な持ち方をしていたと門下の池田弥三郎は書いている。

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