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2025年

2025.10.4 みすず野

2025/10/04
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 もともと風呂好きだが、この時期の入浴は楽しみが増える。窓を細く開けて聞く、虫の鳴き声の合奏だ。体を冷やさないように肩まで湯に漬かり、目をつぶって耳を澄ます。心地よい音色に、心が癒やされる◆昨年も本欄に同様のことを書いたが、今年は一段グレードを上げる方法を見つけた。言うほど大げさなことではないが風呂場の電気を消して暗くすると、露天風呂に入っているような気分になり情趣に富む。気のせいか、鳴き声が一層大きく聞こえる◆弊紙で水曜日に掲載している「ミュージアムから」で先頃、塩尻市立自然博物館指導員の唐澤瞬平さんが「タガメは県内では絶滅してしまいました」と書いておられた。いなくなっていたとは全く知らず驚いた。筆者の子供時分、田んぼ脇の土を固めた水路でよく見られた。水路が水の流れの速いコンクリートになったのも、泳ぎの不得意なタガメがすめなくなった一因だそうだ◆人の都合が優先され、開発が進んで虫の鳴き声の合奏が聞けるのも、当たり前でなくなる日が来るのだろうか。そう思うと、虫の音がよりいとおしくなる。演奏者たちが今後、減っていきませんように。

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