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2025年

2025.10.2 みすず野

2025/10/02
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 JR新大久保駅で、線路に落ちた男性を助けようとして亡くなった韓国人・李秀賢さんの事故は平成13(2001)年1月だった。当時26歳だった留学生を、どれだけの人が覚えているだろう。辰野町のフォークシンガー・三浦久さんは現場を訪れ、このことだけは忘れてはならないという思いで「カムサハムニダ、イ・スヒョン」という歌を作った◆事故の翌年、この歌を収めたアルバムを発表した。そのライナーノーツで三浦さんは、事故を通して彼は「両国の間に大きな橋を架けたと言えるかもしれない」といい、その橋を維持し堅固なものにするのは「残されたものたちの仕事である」と記した◆歌詞では繰り返しこう歌われる。「カムサハムニダ、イ・スヒョン/君の優しさと勇気に/ぼくたちは君のことを忘れないよ/カムサハムニダ、イ・スヒョン」◆石破茂首相は忘れていなかった。訪問した韓国・釜山で李さんの墓参りをしたと報じられた。現職の首相としては初めてだという。最近の演説や記者会見を見聞きする度に近づく退任が残念に思われる。自民党総裁選挙の立候補者は、こうした言葉を何か発しているのだろうか。

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