2025.9.25 みすず野
2025/09/25
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近年なかったサンマの豊漁が、さまざまな話題になっている。それを見聞きするうちに、最もなじみのある塩焼きにする調理法を調べてみた。背の青い魚はくせが強いので「前もって塩をして水分を抜き、くせを取る必要がある」(『日本料理のコツ』杉田浩一、比護和子、畑耕一郎著、角川ソフィア文庫)と書かれている◆前もってというのはどれくらい前かというと10~15分。塩は味付けをするというより魚のうま味を引き出す役目があり「ミネラル分が損なわれていない自然塩を使う」とある。初めて知ることばかり◆俳人の星野麥丘人さんの句集『小椿居以後』(角川学芸出版)に「秋刀魚焼くアルトサックス聴きながら」がある。平成26(2014)年に発刊されたが、著者は前年88歳で死去。CDかレコードを聴きながら、塩を効かせて電子レンジで焼いているのだろうか◆その前には「秋風やイエスタディを繰返し」がある。ともに亡くなる前年に詠んだ。サンマを焼きながら、ジャズやビートルズを聴くお年寄り。味のあるその姿だ。「焼鳥の串は二本と決めてあり」の句も。傍らには人肌のかん酒があったのかもしれない。