2025.9.24 みすず野
2025/09/24
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散歩する人を見ていて、車で移動して駐車場に止め、そこから目的地まで歩くというスタイルが結構多いことに気づいた。家から歩くというわけではない。これだと散歩のコース設定がかなり豊富になる◆ドイツ文学者の池内紀さんは、相模原市の相模湖周辺を散歩するために、中央線高尾駅で松本行きの鈍行に乗る。「『これ、ほんとうに松本まで行くんですか?』わざわざ駅員にたずねている人がいたが、わからないでもない気がした」(『きょうもまた好奇心散歩』新講社)◆情報が一瞬にして行き交う時代に「はるばると信州まで、一駅ずつ克明に止まりながら走る乗り物があるなんて、ほとんど信じられない」と。一駅だけの利用だが「四人がけにすわり、窓辺に頬づえをついていると、何やら旅行気分である」というのはよくわかる◆車だけでなく列車を乗り継いで行くこの方法だと、家から距離のある場所をコースに設定して観光気分も味わえる。無理なスケジュールを避け、ゆとりのある計画を立てれば、かなり満足できる一日になりそう。行き先が名所でも、商店街でも、美術館でも。歩数計の数字が思いのほか伸びそうだ。