2025.9.21 みすず野
2025/09/21
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猫の額ほどだが、自宅の庭に家庭菜園がある。夏の間、収穫を楽しませてくれたミニトマトやキュウリは終わったが、ナスは今でも実がなる。家人が追肥、土寄せといった世話をしてやると、応えるように多くの大きな実をつけた◆秋ナスと聞くと「嫁に食わすな」のことわざを思い出す。両極端の意味がいわれる。広辞苑を開くと「秋なすび早酒の粕につきまぜて棚におくとも嫁(「嫁が君」の略、即ち鼠)に食はすな」の和歌に基づく、とあった。ー新酒の酒粕に漬けた秋ナスをネズミに食べられないようにーとの意味だ。しゅうとめの嫁いびりでも、いたわりでもなかった◆江戸中期に日本に入ってきたとされるトマトが、明治期に赤ナスと呼ばれて栽培されたと児童書で知った。青臭さが嫌われ、広まらなかったそうだ。改良された今のトマトとは別物と思ったほうがいいのだろう◆話を戻すと広辞苑に、こんなにうまいナスを憎い嫁に食わすなという意味で通常は通っている、とも載る。今風に言うと「義母ハラ」か。多様なハラスメント(嫌がらせ)が問題となる時代だ。近いうちに、良い意味だけで通ることわざになるといい。