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2025年

2025.9.19 みすず野

2025/09/19
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 秋祭りの季節が始まっている。先日の紙面には、各地の祭りの日程が載っていた。「石段の下には、二本の幟が立っている。丈は二十メートルもあろうか、他の神社の幟と比べてひとまわり大きい」と民俗学者で、神主でもある神崎宣武さんは書く(『神主と村の民族誌』講談社学術文庫)◆竿の頭には杉の葉が束ねて取り付けられ「風を受けて、澄んだ秋空に幟がバタバタと波をうってはためく。竿がギーギーときしむ」というのは、自身の家の氏神でもあり神主を務める神社の祭りの様子だ。中信の祭りも同様だろう◆昔から続く祭りは日が決まっていたが、勤め人が多くなるとその近辺の土日に。さらに生活様式の変化や人口の減少などから、祭りの形態は変わり続けている。みこしや長持ちに携わる人が足りなくなり断念した祭りもあれば、復活に力を合わせる話も聞く◆神崎さんは社会の変化のなかで祭りだけが「旧来のままに維持できるはずもない」と指摘する。ただ、変化は予測できないほど大きかったのだ。氏神の神社の秋祭りは心が躍るといい「一年に一度ぐらいそういう気分を大事に伝えていきたい」という言葉にうなずく。

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