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2025年

2025.9.18 みすず野

2025/09/18
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 鉢物の水やり用に使っている容量の大きなじょうろが重く、しばらく小ぶりのものを使っていた。ある朝見ると、大きな方の取っ手に朝顔のつるがからみついていた。種がこぼれて毎年勝手に生えてくる。ちぎれないようにつるをほどいて、これは加賀千代女だな、とおかしくなった◆「朝顔に釣瓶とられてもらひ水」の作者。井戸に水くみに行くと、くみ上げるおけに朝顔のつるが巻き付いている。つるを切るわけにはいかず、近所から水をもらったという有名な句◆朝顔は夏の季語だと思い込んでいたが、歳時記を繰ると秋の季語だった。「鎌倉時代以後、観賞用に栽培され、江戸時代に広く親しまれるようになった」(『合本俳句歳時記』角川書店)という。「古くは〈桔梗〉〈木槿〉など朝咲く花を『朝顔』といった」(『花のことば辞典』倉嶋厚監修、宇田川眞人編著、講談社学術文庫)そうだ◆好き放題に生えてくる朝顔は、この夏、西日よけに初めて立てかけたよしずにからみつき、青紫や赤紫の花を咲かせている。家はずいぶんくたびれたがその部分だけを見ると、よしずと花の取り合わせに、我が家とは思えない風情がある。

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