2025.9.14 みすず野
2025/09/14
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90代後半で、独りで飲食店を営む女性が先日、テレビのバラエティー番組で取り上げられていた。きっぷが良く、名物のうどんの調理過程で出る切れ端を無料で客に振る舞っていた。店の営業に生活のためとの悲愴感はなく、客とのふれあいが楽しみで働いているようだった◆昨冬の朝、松本市両島の辺りを自動車で走っていると、家の玄関前で、ダボシャツにステテコ姿で体操する年配男性を見かけた。厳寒期の薄着に驚いて、思わず2度見した。すぐ、前方へ視線を戻したが、ご達者ぶりに運転しながら口元が緩んだ◆高齢者専門の精神科医・和田秀樹さんは著書『シン・老人力』(小学館)で、人生100年時代の適応には「旧来の常識から脱して、時代の価値観を転換することが求められます」と指摘する。例として、世間体を気にせず、体の自由が利くうちに奔放に行動するよう薦める。それが「元気な時間」の延長や、日本経済への好影響につながると◆「いつまでも勉強。仕上がることはない」。テレビに出ていた女性が話していた。実際に体現していることだけに説得力がある。人生の先輩たちに教わることはまだまだ多い。