2025.9.9 みすず野
2025/09/09
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国会での質疑をテレビ中継で見ながら、ああ、こうだったなと思ったのは、石破茂首相の答弁を聞いたときだった。質問に対して、答弁書を見ることなく、流れるように言葉を連ねた。かつてはこうした答弁が当たり前だったが、10年以上見られなかった◆8月6日の広島の平和記念式典では「太き骨は先生ならむそのそばに小さきあたまの骨あつまれり」という、平和記念公園前の碑に刻まれた歌人・正田篠枝の歌を詠み上げてあいさつを締めくくった。多くの人の胸を打ったのではないか。戦後80年談話を期待したが、党内事情を配慮してか発表されなかった◆衆議院だけでなく参議院も与党の過半数割れという厳しい情勢の中で延命を試みたが、退陣を表明した。自民党の分裂回避という名目は、つまり党内の権力争いに敗れた結果だ◆退陣の記者会見から一夜明けると、もう総裁選挙をめぐる話題があふれかえる。これまでの報道各社の世論調査では、内閣支持率が上昇し、首相退陣「必要なし」という声が多かった。声の主はこの展開をどう見ているのか。1年前にあった総裁選がまた行われる。当面、その顔ぶれに注目が集まる。