2025.9.7 みすず野
2025/09/07
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松本市里山辺の旧山辺学校校舎内にある、昭和30~40年代の茶の間の雰囲気が再現されたブースを訪ねた。高さが20センチほどの背の低い円形のちゃぶ台の上に、ダイヤル式の黒電話が載る。脇には、小柄な茶だんす。中には年代が感じられる湯飲み茶わんや急須、とっくり、小皿が並ぶ◆時代を感じるテレビやステレオもあり、懐かしさが込み上げてきた。小学生時代の記憶をたぐり寄せると、50年代だからそこまで古めかしくないが、当時の情景が思い出された。一緒に暮らしていた祖父母、両親、きょうだいの姿が、茶の間に現れた気がした◆懐かしさをなぜか、強く感じた物があった。新聞の折り込み広告などを材料にしたフクロウをかたどった手芸品。詳細は忘れてしまったが当時、父の吸い終わったたばこの空き箱の紙を使って、母が手芸品を作っていたのを思い出したのだ。お金をかけない、余暇の楽しみだったのだろう◆時代は移り、いつの間にか、茶の間はリビングと名前を変え、おしゃれな雰囲気になった。と同時に、どこか無機質になったと感じるのは筆者だけだろうか。ブースの片隅に座り、豊かさをあらためて考えた。