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2025.9.6 みすず野

2025/09/06
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 江戸時代の浮世絵師・歌川広重と聞けば「東海道五十三次」を思い浮かべる人も多いだろう。遠近法を用い、江戸と京都を結ぶ東海道の宿場の様子を立体的に描写している◆以前、弊紙リレーコラムで野溝美憲さんが、広重作品の特徴の青色について書かれていた。「葛飾北斎、歌川広重、川瀬巴水の3人の版画作品に共通するのは鮮やかで褪色の少ないブルーにあります」と◆広重は寛政9(1797)年、江戸の火消同心の子として生まれた。姓は安藤。13歳で親の跡を継いで火消同心となった。この年に両親を亡くした。絵を描くのが好きだった広重は、火消同心を務めながら浮世絵師・歌川豊広のもとで学んだ。浮世絵の仕事だけに、打ち込めるようになったのは27歳の時だったそうだ。児童書に教わった◆2年ほど前、日本浮世絵博物館(松本市島立)の企画展で見た、鳴門の渦潮が題材の広重作品が記憶に残っている。青の濃淡が見事だった。企画展内容にもよるが、広重の作品が鑑賞できる博物館が身近にある。出掛けないのはもったいない。陰暦9月6日は、広重忌。今の暦なら10月半ば、秋も深まり始める頃だっただろう。

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