2025.9.5 みすず野
2025/09/05
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昭和40(1965)年から58年までに発行された34の雑誌を取り上げた『私の体を通り過ぎていった雑誌たち』(新潮社)は、評論家の坪内祐三さんが、各誌への思い入れを語っている◆取り上げているのは学習雑誌や少年雑誌から始まって映画、プロレス、野球、相撲、音楽などさまざま。それぞれの雑誌の表紙の写真が各回に載っている。ほぼ同世代なので、ほとんどの雑誌を知っている◆発売日を楽しみに待ったものも何誌かある。例えば漫画雑誌の『COM(コム)』は、手塚治虫の「火の鳥」などを掲載していた。一時期イラストレーターの和田誠さんが表紙を担当した。毎号一こま漫画になっていて、今見ても決して古くない◆自民党の議席を大幅に減らした7月の参院選挙の責任をとり石破茂首相に退陣するよう求める党内の動きが連日報じられる。メディアの世論調査は内閣支持率が上がり続け、首相退陣の必要はないという声が多い。石破首相でなかったらもっと大敗したのではと思わせる。和田さんの作品を外した雑誌は、間もなく休刊した。表紙を替えればいいというものではない。国会から遠い場所ではそう見える。