0000日(木)
2025年

国道19号拡幅が進まぬ松本 まつもと道路交通考・第5部① 事業化26年…遠い4車線化

2025/08/26
後で読む

 木曽路から塩尻市、松本市、安曇野市などを経て長野市につながる国道19号は県内を南北に貫く。主要幹線道路として大きな役割を果たしている一方で、慢性的な交通渋滞が発生する箇所もある。松本市や塩尻市では交通の円滑化を図るため、道路拡幅(4車線化)事業が行われているものの、松本市では遅々として進まない。現状と課題を検証する。
 「やるんですか、やらないのですか?」
 7月2日。松本市内で国道19号沿線の町会や事業所、地権者会などの代表で構成する松本拡幅建設促進連絡協議会の令和7年度総会が開かれた。協議会の委員で、芳川地区(6町会)の町会長の一人が声を上げた。長年、周辺の渋滞解消に向けた道路整備に期待を寄せてきたものの、事業化から26年を経ても先の見通しが立たない状況に、いらだちを隠さずに発言した。芳川地区は既に4車線化された塩尻市広丘吉田と境を接するだけに、2車線のままの状況に不満を募らせている市民は多い。その場にいた別の委員は「市民の声を代弁している」とつぶやいた。
 松本市内の国道19号拡幅事業は塩尻市境の芳川村井から島内平瀬までの11.4キロが対象となる。うち、現在は渚3丁目から宮渕本村までの1.6キロ区間で取り組む。平成10(1998)年度に事業化し、国土交通省長野国道事務所によると、令和6年度末の事業進ちょく率は約72%、用地取得率はおおむね60%で完工年度は定まっていない。
 総会であいさつした松本市の臥雲義尚市長は「事業化からすでに26年。月日の重さを改めてかみしめなければならない。市にとっては地域の生命線である」と強調、同区間の早期完了に強い意欲をにじませた。
 渚3から宮渕本村まで1.6キロのうち、国道158号と接する渚1交差点から白板交差点までの660メートルが先行している。市は長野自動車道松本インターチェンジを下りた車が松本城を中心とした中心街に入る際、渚1交差点を左折(北進)して、白板交差点を右折(東進)するルートへ誘導したい考えだ。市長は「4~5年先、令和11年ごろには4車線での供用が可能になるように計画を詰めていかなければならないと思っている」と話す。
 いずれにしても、同区間から塩尻市境までの4車線化完了までの道のりは長くなりそうだ。

関連記事