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2025年

2025.8.2 みすず野

2025/08/02
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 「出発の歌」で、繰り返し歌われる「さあ今 銀河の向こうに飛んで行け」の歌詞を、上條恒彦さんは「銀河の向こうへ」と歌っている。世界歌謡祭で上條さんとともにこの曲を歌った六文銭の小室等さんのアルバム「23区コンサート 東京旅行」でのこと。昭和54(1979)年に発表された◆小室さんは歌詞のとおりに歌っているので「に」と「へ」が同時に聴かれる。何度も歌うのだが、上條さんはかまわずに「へ」で歌い通した。小室さんがとまどっている雰囲気が伝わる。あの声量で堂々と歌うと、上條さんが正しいように聴こえるから面白い◆富士見町に家を建てて40年近くになる。その様子は昨年小紙に掲載された新春随想でうかがえる。迷い込んできたシジュウカラが出入りするようになり、冬の夜も玄関ドアをわずかに開けていると。「気は優しくて力持ち」を絵に描いたようだ◆訃報が届いた。思い出すのは平成5(1993)年、国宝松本城400年まつりの催事を締めくくったコンサート。歌い終わり、会場から出口へ向かうさっそうとした後ろ姿。きっと同じように大きな背中を見せ、空へ歩いて行ったに違いない。

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