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2025年

2025.7.13 みすず野

2025/07/13
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 風鈴がリヤカーにいっぱいつるされた景色、それらが奏でる音色がよみがえりましたー。風鈴の話題を昨夏、小欄で取り上げたところ、松本市に住む70代の男性からそのようにしたためられた便りをいただいた。小学校低学年のころの思い出で、場所は松本城の二の丸という◆お城に風鈴売りが来ていたらしい。文面を目で追いかけながら、天守を背景にして、愛らしい絵が描かれた風鈴がいくつも並び、涼やかな音が一帯に響く様子を想像してみた。すると、不思議なことに、清涼な風が吹いた気がした。見たこともないのに懐かしさも感じられた◆便りには、てんびん棒に、おけをつるした金魚売りもいたと書かれていた。売り子の威勢のいい声が、周囲をにぎやかにしていたという。筆者は金魚売りにも実際に会ったことはないが、少しダミ声の「きんぎょ~え、きんぎょ」という声が思い浮かんだ◆男性の便りを拝読して松本城で、そのよう風景が見られたころがあったことを初めて知った。子供心にも何か感じるところがあった良い思い出だからこそ、忘れずにずっと覚えておられるのだろう。風情のある景色は人の心を魅了する。

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