0000日(木)
2025年

2025.6.25 みすず野

2025/06/25
後で読む

 アユ釣り解禁のニュース映像が流れる。スーパーにも天然アユが並ぶ。昔の人はアユに「香魚」の字をあてた。その芳香を生かすには塩焼きがいいか、油で封じるのがいいか。姿形も美しい、夏を連れてくる川魚だ◆「厚い雲と長雨に閉じ込められる頃、台所は香りのいい食材であふれる」と、エッセイストで料理家の寿木けいさんはいう(『愛しい小酌』大和書房)。その一番乗りがアユで、畑から届くのがサンショウやラッキョウ、ミョウガなど。こうした食材が「食欲を励まして小酌を豊かにする」のだと◆庭を耕した小さな畑で、キュウリが2本取れた。休日はボランティア作業などにかり出されて、ずっと草だらけだったが、今月に入ってようやく苗を植えた。一月たたないで実が付いた。いい緑色をしている◆キュウリは昔「きうり」と発音していたという(『身近な野菜のなるほど観察録』稲垣栄洋著、ちくま文庫)。「黄瓜」の意味。取り忘れると巨大化して黄色くなるからで、これを食べていた。初物は大喜びで収穫するが、だんだん食べきれなくなり「黄瓜」がぶら下がる。切り口の新鮮な香りを忘れずに夏の味を頂きたい。

関連記事