2025.6.21 みすず野
2025/06/21
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日が長いと、なぜか得をした気分になる。活動的だった若い時分は、その思いが強かった。いつころからだろう。あまり日が長いのも…と心変わりしてきたのは。年を取って体力が落ちたからかな、と自分なりに解釈する。日の出から日没までが1年で最も長い、きょうは夏至◆大正生まれの化学者で俳人の和田悟朗は「夏至ゆうべ地軸の軋む音すこし」を得た。地球の公転の軸に対し、自転の軸は23度余り傾いている。その傾きによって地球が太陽に照らされている時間の長さに変化が生まれる。学校の理科の授業で習った。夏至に当たり、その傾いている軸のきしむ音が聞こえるようだ、とはスケールが大きい◆夏の季語には「短夜」もある。観察眼の鋭い風流人は日中の長さの裏側にある夜の短さを見逃さない。『万葉集』にも、短い夜でも恋しい人がいないと夜明けを待ちかねるという「霍公鳥来鳴く五月の短夜も独りし寝れば明かしかねつも」(巻10、作者未詳)が見られる◆きょうを境に日中が少しずつだが短くなっていく。心変わりしたといっても、やはり少し寂しい気分になる。まだまだ若いってことかな、と自分を励ます。