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2025年

2025.6.20 みすず野

2025/06/20
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 「襟裳岬」や「旅の宿」「落陽」などを作詞した岡本おさみさんの著書『旅に唄あり復刻新版』(山陰中央新報社)は、昭和 52(1977)年に発刊された元版に、平成11(1999)年に行われた講演会の内容を加えて3年前に刊行された。元版は1970年代に全国を旅したエッセーを収める。岡本さんは10年前に亡くなった◆元版最後の章に「インドに行きたい、と思っている」とある。かつての学生運動家がインド行きを望んでいて、その手続きをしたらしいが執行猶予中で海外に出られなかった。「最近そういう話が耳にはいる」と書いて別の話になる。わずか3行◆70年代の一時期、インドに若い人たちの目が向いていた。大学のサークルの先輩は、インドからシタールを2台買ってきた。売って旅費を賄うのだと話してくれた。旅行記が小さな出版社から発刊されたのを雑誌の広告で知った◆シタールはインドの弦楽器。インド人の奏者、ラヴィ・シャンカルは、ザ・ビートルズのジョージ・ハリソンに奏法を教えた。インドはあの頃を知るための一つのキーワードかもしれない。後年、いまを言い表す言葉は何になるのだろうか。

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