0000日(木)
2025年

2025.6.2 みすず野

2025/06/02
後で読む

 「人生100年時代」とは、100歳まで生きるのが当たり前になる時代という意味だろうが、ぴんとこない。仮にそこまで生きていたとしても、健康で自立できるかどうか。とてもそんな自信はない◆「『長生きは老化のもと』といったのは哲学者の土屋賢二さんだが、『長生きはボケのもと』でもある」と、作家、評論家の関川夏央さんはいう(『昭和的』春陽堂書店)◆そう思いながら、幹線道路の歩道を歩いていて、突然空を飛ぶ。「不揃いだった縁石に躓いて転倒、顔面と胸を強打したのである。歯が割れ、唇が切れ、肋骨にひびが入った」。昨年1月末のことだ。そのとき、一瞬死んだのかと思う。死にはしなかったがおそろしく痛かったと◆「『長生き』はまだ先のことだと思っていたが、たったいまが「長生き」で、それは『ケガのもと』なのだと知った」とつぶやく。関川さんは昭和24(1949)年生まれの団塊の世代。既に「長生き」のエリアに入っていたわけだ。次は「ボケ」の範囲に入るのかとは書かれていないが、エリアは近接している。常に仰ぎ見る存在だった世代がその域に。仲間入りするまでそう遠くない。

関連記事