連載・特集

2018.5.17みすず野

 先日届けられた草間彌生さんの最新写真集『草間彌生 私の愛のすべて』(美術出版社)には、その題名のごとく、草間さんの少女期から今日に至る、ご自身の言う「愛」の遍歴(作品群)が載っており、構成もわかりやすくて堪能できる◆作品群の終わりに、草間さんが書いた3編の詩があり、最後の「華やいだ道」に、胸を締めつけられた。この1編にも草間さんのすべてが込められているではないかと。花咲ける信濃路(松本)の風に吹かれつつも、私は孤独でみじめで、何度か自殺を思い立った、と回想したあと◆幾年月を経て「世俗のアイドルにさせられて」「華々しい栄誉と花束と拍手にとりかこまれて」、そんな自分に驚き、そしていま、「虚名をなげすてて、一人ぼっちで/死界へさまよいでていくのだろうか?」と問い、「さようならわたしの生涯よ、天に飛んでいって!」と締めくくる◆草間さんは、ずっと死の恐怖にかられ、逃れるべく創作に没頭し、闘い続けてきた。その道にひとときの安らぎはあったのだろうか。人と分かち合う喜びは。「愛」はかなえられなかった裏返しか。松本市美術館にもう一度行こう。